人工股関節と障害年金 申請からの完全ガイド
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人工股関節について
人工股関節は、股関節の機能が著しく低下した場合に行われる手術で、人工の関節を挿入することで痛みを軽減し、機能を回復させるものです。
人工股関節置換術の主な原因は、股関節の変形や損傷による痛みや機能障害です。具体的には、以下のような疾患が原因となります。
1. 変形性股関節症:加齢や過度の使用によって関節の軟骨がすり減り、痛みや動きの制限が生じます。
2. 大腿骨頭壊死症:血流が途絶えることで大腿骨の一部が壊死し、股関節の痛みや機能障害を引き起こします。
3. 関節リウマチ:自己免疫疾患で関節が炎症を起こし、痛みや変形を伴います。
人工股関節で受給できる障害年金の等級
人工股関節を挿入置換した場合、原則として障害年金3級に該当します。ただし、障害の程度が重い場合は、2級以上に認定されることもあります。
障害等級について
片方の股関節に人工関節を挿入した場合は、その事実だけで障害厚生年金3級に認定されます。また、片方の股関節に人工股関節の挿入置換した場合でも、症状が改善せず診断書の内容が重い場合は2級に認定されることもあります。
では、両方に股関節に人工股関節を挿入置換した場合はどうなるか、3級と3級を合わせて2級に認定されるというものではありません。医師の所見、自覚症状、測定検査結果、日常生活の能力など、総合的に審査が行なわれ等級が決まります。
先天性股関節脱臼と社会的治癒
社会的治癒とは、医学的に完全に治癒していなくても、長期間にわたって治療を必要とせず、社会生活を問題なく送れている状態を指します。この場合、再発した時点を新たな初診日として扱うことができます。社会的治癒は医学用語ではなく、障害年金制度独自の概念です。
例えば、幼少期に先天性股関節脱臼(完全脱臼は除かれる場合もあります)で手術を受け、その後長期間治療を受けずに社会生活を送っていた場合、再発時に厚生年金に加入していれば、その時点を初診日として障害厚生年金を請求できることになります。
障害年金の受給要件
人工股関節の手術を受けた場合、障害年金を受給できる可能性があります。以下の要件を満たす必要があります。
1. 初診日要件:障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師の診療を受けた日が「初診日」となります。この初診日に国民年金、厚生年金、共済年金、厚生年金加入期間のない20歳前のいずれかの確認が必要です。
2. 保険料納付要件:原則として初診日の前日において初診日がある月の前々月までの期間で、保険料の納付期間が3分の2以上あることが必要です。又は、特例として初診日の前日において初診日がある月の前々月までの1年間未納がないことが必要です。
3. 障害状態該当要件:障害認定日において、障害等級表に定める1級から3級のいずれかに該当していることが必要です。
ただし、初診日が国民年金又は20歳前の場合は3級の障害等級ありません。人工股関節を挿入置換となっても障害状態が重く、障害等級2級以上として認定が必要です。
まとめ
人工股関節の手術を受けた場合でも、障害年金の受給が可能です。初診日がいつなのか受給要件を満たしているかどうかを確認し、適切な手続きを行うことが重要です。障害年金の申請には専門的な知識が必要な場合も多いため、社労士などの専門家に相談することをお勧めします。