「筋ジストロフィー」と障害年金・申請までの完全ガイド

筋ジストロフィーによる筋力低下や歩行困難で障害年金を受給できる可能性があります。その等級の基準や申請時の注意点、社会保険労務士に相談するメリットまで丁寧に解説します。

 

筋ジストロフィーとは

筋ジストロフィーは、主に遺伝子の異常によって筋肉が徐々に破壊され、弱っていく進行性の筋疾患です。筋細胞の構造を維持するためのタンパク質がうまく働かないことで、筋肉が傷つきやすくなり、時間とともに萎縮(やせて力が入らなくなる)していきます。

この病気は、小児期から始まるものや、成人期に発症するタイプもあり、進行の速さや症状の出方はタイプによって大きく異なります。

 

代表的な筋ジストロフィーの種類

〇デュシェンヌ型(DMD): 幼少期に発症し、10歳前後には歩行が困難になる重症型。男児に多く、急速に進行します。

〇ベッカー型(BMD): デュシェンヌ型よりも緩やかな進行を示し、思春期以降に発症することが多く、歩行が長期間維持されることもあります。

〇肢帯型(LGMD): 肩や骨盤まわりの筋力低下から始まるタイプで、歩行障害や腕の挙上困難が目立ちます。発症年齢や進行スピードには個人差があります。

〇筋強直性ジストロフィー(Myotonic Dystrophy): 大人になってから発症することが多く、筋力低下に加えて筋強直(筋肉が収縮した後にゆっくりしか戻らない状態)が特徴です。手指の動かしづらさや、まばたき・開口などの遅れなどが見られます。また、全身性疾患として、心筋障害、不整脈、白内障、内分泌異常、知的障害など多臓器にわたる症状が現れることもあり、注意が必要です。

 

 症状の進行と生活への影響

いずれのタイプも、進行に伴って歩行困難、日常生活の制限、呼吸や嚥下の障害、さらには心機能への影響が現れる場合があります。筋力の低下は生活のあらゆる場面に影響し、自立した生活が困難となることも多く、介助や医療的ケアが必要になるケースもあります。

 

障害年金とは

障害年金とは、病気やけがにより生活や仕事に支障が出た場合に、国から支給される年金制度です。筋ジストロフィーのような進行性疾患の場合、症状の進行によって日常生活や就労に大きな制限が生じることが多く、障害年金の対象になることがあります。

 

筋ジストロフィーで障害年金を受給するための条件

筋ジストロフィーで障害年金を受給するには、以下の条件を満たす必要があります。

〇「初診日」が明確であること
〇「保険料納付要件」を満たしていること
〇「障害認定日」以降に障害等級(1級・2級または3級)に該当していること

障害基礎年金または障害厚生年金のどちらが対象となるかは、初診日時点で加入していた年金制度により異なります​​。

 

筋ジストロフィーでの障害等級の目安

筋ジストロフィーの症状や日常生活・就労への影響により、次のような障害等級に該当することがあります。

〇1級:自力での移動が不可能で、常時介助が必要な場合、体幹の機能に座ることすらできない状態など​
〇2級:歩行は困難で、日常生活が著しく制限されるが、介助があれば生活できる場合、屋内での移動は可能だが外出が著しく制限される場合​
〇3級(厚生年金加入者のみ):歩行は可能だが長距離の移動が難しく、就労が大きく制限される場合

筋ジストロフィーは進行性のため、初回申請時に3級であっても、症状の進行により2級、1級に移行することがあります。事後重症請求によって後日年金を受給することも可能です​。

 

申請時の注意点と診断書の重要性

筋ジストロフィーは進行性の病気であるため、「日常生活や就労にどのような支障が出ているか」が審査において重視されます。そのため、医師の診断書には「できること」よりも「できないこと」を具体的に記載してもらうことが重要です。たとえば、1人での着替えができない、階段の昇降が困難、長時間の立位保持ができない、といった具体的な支障が記載されているかを確認する必要があります。

 

社会保険労務士に相談するメリット

障害年金の申請には、多くの書類準備や医師やソーシャルワーカーの連携が必要になります。筋ジストロフィーのような複雑な症状の場合、正しく申請するためには専門的な知識が不可欠です。社会保険労務士に相談することで、以下のようなメリットがあります。

・障害年金請求の必要書類の準備、記載、提出までの一連の代行支援。
・日常生活の動作、就労状況等を正確に医師に伝える支援
・「病歴・就労状況等申立書」の記載支援

 

まとめ

筋ジストロフィーによる筋力低下や歩行困難などは、障害年金の受給対象となることが多くあります。ただし、制度の複雑さや申請内容の不備によって不支給となるケースもあるため、早い段階で専門家に相談することが重要です。

もし「自分の症状で申請できるか不安…」「診断書の内容に自信がない…」とお悩みの方は、ぜひ一度、当事務所へご相談ください。障害年金の専門家が、あなたの不安を丁寧に解消します。

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