「うつ病」と障害年金申請のポイント

うつ病で障害年金を申請するには?等級の違いや初診日の重要性、審査のポイントまで詳しく解説!

うつ病で障害年金を受給するには、初診日の取り扱いや障害等級の基準、就労状況の影響など専門的な知識が求められます。受給の可能性や注意点を丁寧に解説します。

 

うつ病の症状は「精神的な症状」と「身体的な症状」の両方に分けられます。以下に主な例を挙げます。

精神的な症状

  • 抑うつ気分:一日中気分が沈み、何をしても楽しいと感じられない。
  • 意欲の低下:仕事や家事、身だしなみなど、これまで普通にできていたことができなくなる。
  • 思考力・集中力の低下:物事を考えるのが億劫になり、新聞や本が読めない、テレビの内容が頭に入ってこない。
  • 罪悪感・自己否定:自分を責めたり、「自分は価値のない人間だ」と思い込む。
  • 希死念慮(ししねんりょ):生きているのがつらくなり、「消えてしまいたい」「死にたい」といった考えにとらわれる。

身体的な症状

  • 不眠:寝つけない、夜中に何度も目が覚める、早朝に目覚めてしまう。
  • 食欲の変化:食欲がなくなる、または過食してしまう。
  • 疲労感・倦怠感:十分に休んでも疲れが取れず、常にだるさを感じる。
  • 頭痛や胃痛などの身体症状:原因不明の身体の痛みが続くこともあります。
  • 性欲の低下:性に対する関心が著しく減退する。

 

うつ病と障害年金の関係性とは?

うつ病や双極性障害などの「気分(感情)障害」は、精神疾患の中でも障害年金の対象として認定されることがある傷病です。厚生労働省の定める「障害認定基準」では、症状の重さや生活への影響度によって1級~3級までの障害等級が決まります。

なお、適応障害などの神経症は原則として対象外とされていますが、臨床的に統合失調症やうつ病といった精神病性障害に準じる病態であると医師により判断された場合は、例外的に対象となることもあります。

 

初診日の重要性とその確認方法

障害年金の請求において、「初診日」は極めて重要な要素です。初診日とは、うつ病などの症状が初めて現れ、病院を受診した日を指し、確定診断日ではありません。年金制度では、初診日にどの制度の被保険者であったかによって、受給できる障害年金の種類や等級が異なります。

– 初診日に厚生年金の被保険者だった場合:障害厚生年金の対象となり、1級~3級までの等級が適用されます。
– 初診日に国民年金の被保険者、または20歳前であった場合:障害基礎年金のみが対象で、1級または2級に限られます。

 

年金保険料納付要件の重要性

【年金保険料納付要件(原則)】

初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間にかかる保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が被保険者期間の3分の2以上であることが必要です。

【年金保険料納付要件(例外)】

原則の保険料納付要件を満たさなくても、初診日が令和8年4月1日前にある場合には、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの1年間に保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の被保険者期間がないことが必要です。ただし、この特例は、初診日において65歳以上の者には適用しません。

 

障害認定日とは

障害年金は原則として、初診日から1年6カ月を経過した日から申請が可能となります。

 

障害年金における障害等級の基準

うつ病を含む精神疾患においては、等級の判定は医師の診断だけではなく、日常生活の支障度や就労への影響も重視されます。厚生労働省の認定基準によれば、以下のように分類されます。

〇1級:日常生活のすべてに常時援助が必要な状態。重度のうつ状態や妄想、幻覚、思考障害などが持続し、労働は完全に不能。
〇2級:身の回りのことは何とかできるが、社会的行動や対人関係に著しい支障がある。労働は極めて困難か不能。
〇 3級(厚生年金のみ):日常生活はある程度できるが、労働には著しい制限を受ける。障害者雇用など、配慮がなければ継続就労が困難。

 

日常生活・就労状況の評価基準とは?

審査において特に重要なのが、「何ができるか」ではなく「何ができないか」です。日常生活能力の低下とは、以下のような点で判断されます。

〇自分で食事の用意ができるか
〇 衣服の着脱や入浴、清掃、買い物ができるか
〇金銭管理や服薬管理ができるか
〇公共機関の手続きが一人でできるか
〇社会的対人関係や危険認識が保たれているか    等

一人暮らしを前提に、これらを自力でどの程度遂行できるかがポイントとなります。

また、「就労可能かどうか」も等級判定に影響します。一般企業でのフルタイム勤務などは、原則として障害年金の支給対象から外れる可能性が高くなります。逆に、うつ病の症状から短時間勤務や就労移行支援、障害者枠での就労となっている場合は、病状と労働能力の関係を慎重に評価されるポイントになります。

 

申請における注意点と専門家のサポートの重要性

うつ病など精神疾患における申請では、診断書の記載内容が極めて重要です。主治医に生活状況を正確に伝え、実態に即した診断書を作成してもらうことが不可欠です。また、審査で重視されるのは、医学的な症状だけでなく、社会生活・労働能力への支障度であるため、日々の困りごとを具体的に記録しておくことも有効です。

このような専門的で煩雑な手続きには、社会保険労務士のような専門家への相談が強く推奨されます。初診日の特定、診断書の取得、申請書類の整備、そして審査基準への適切な対応など、すべてを一人で行うのは非常に負担が大きいためです。

 

まとめ

うつ病で障害年金を受給するには、初診日や等級の基準、日常生活や就労の制限度など、さまざまな要素が審査に影響を与えます。正確な情報と専門的な準備が不可欠であり、専門家への相談を早めに行うことが、スムーズな申請につながります。少しでも不安を感じた方は、お気軽に専門の社会保険労務士にご相談ください。あなたの状況に最も適したアドバイスを受けることができます。

 

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