15.腎疾患の障害認定基準
【認定基準】
総合的な評価: 自覚症状、他覚所見、検査結果、一般状態、治療経過、人工透析の実施状況、日常生活の状況などを総合的に評価。
1級: 長期の安静が必要で、日常生活が全くできない程度。
2級: 日常生活に著しい制限がある程度。
3級: 労働に制限がある程度。
【認定要領の要点】
- 対象
主に慢性腎不全。慢性腎疾患により腎機能が徐々に悪化し、正常な生活が維持できなくなった状態。 - 主要症状
悪心、嘔吐、食欲不振、頭痛、浮腫、貧血、アシドーシスなど。 - 検査
尿検査、血球算定検査、血液生化学検査、動脈血ガス分析、腎生検など。
病態別検査項目: 各病態に応じた検査項目と異常値の一部を示すと次のとおりである。
1.慢性腎不全
区分 |
検査項目 |
単位 |
軽度異常 |
中等度異常 |
高度異常 |
ア |
内因性クレアチニンクリアランス |
ml/分 |
20以上 30未満 |
10以上 20未満 |
10未満
|
イ |
血清クレアチニン |
ml/分 |
3以上5未満 |
5以上8未満 |
8以上 |
2.ネフローゼ症候群
区分 |
検査項目 |
単 位 |
異常 |
ア |
尿蛋白量(1日尿蛋白量又は尿蛋白/尿クレアチニン比) |
g/日又はg/gCr |
3.5 以上を持続する |
イ |
血清アルブミン(BCG法) |
g/dl |
3.0 以下 |
ウ |
血清総蛋白 |
g/dl |
6.0 以下 |
3. 腎疾患による障害の程度を一般状態区分表で示すと次のとおりである。
一般状態区分表
区分 |
一般状態 |
ア |
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの |
イ |
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など |
ウ |
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの |
エ |
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの |
オ |
身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの |
4.各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。
障害の程度 |
障 害 の 状 態 |
1 級 |
前記(4)①の検査成績が高度異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの |
2級 |
1 前記(4)①の検査成績が中等度又は高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの 2 人工透析療法施行中のもの |
3 級 |
1 前記(4)①の検査成績が軽度、中等度又は高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの 2 前記(4)②の検査成績のうちアが異常を示し、かつ、イ又はウのいずれかが異常を示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの |
- 人工透析療法施行中
原則として2級に認定。主要症状や検査成績、合併症の有無、日常生活状況により上位等級も考慮。認定時期は、初回透析から3ヶ月経過後(初診日から1年6ヶ月を超える場合を除く)。 - 検査成績
腎疾患の経過中で最も適切に病状を表す検査成績に基づいて認定。 - 慢性腎不全の原因疾患
糸球体腎炎、腎硬化症、多発性嚢胞腎、腎盂腎炎などが原因で慢性腎不全を生じた場合、相当因果関係が認められる。 - 総合的な認定
原因疾患、臨床所見、検査所見、合併症の有無、治療経過、日常生活状況などを総合的に評価。 - 腎臓移植
術後の症状、治療経過、検査成績、予後を考慮して総合的に認定。障害年金受給者が腎臓移植を受けた場合、術後1年間は従前の等級を維持。
この要約が役立つことを願っています。他に質問があれば教えてください。