うつ病とADHDで障害厚生年金2級を取得した事例（年間約190万円の受給）

相談者

性別：男性
年齢層：30代
傷病名：うつ病、ADHD（注意欠如・多動症）
決定した年金の種類と等級：障害厚生年金2級
年間受給額：約190万円

相談時の状況

相談者は幼少期から、他人の表情や反応を過度に気にする傾向があり、常に緊張感の中で生活していました。小学生の頃には完璧主義的な性格が顕著で、苦手な給食を無理に食べては自ら吐くなど、過剰なストレス反応が見られていました。中学・高校では「嫌なことから逃げてしまう」傾向が強まり、人間関係のトラブルも増えていきました。

社会人になってからは、小売業に従事し、真面目に業務へ取り組んでいましたが、職場内での人間関係の悪化や上司のパワハラなどが重なり、徐々に心身の不調が現れるようになりました。初めは「適応障害」と診断を受け、その後「うつ病」へと診断が変更され、現在の病院で「ADHD」が心理検査の結果、確定診断を受けました。

複数回にわたり休職を繰り返し、最終的には長期休職後に退職。退職後は希死念慮（死にたいという思い）が強まり、処方薬の大量服用を複数回起こすなど、危険な状態となり、A病院に2カ月間の入院を要しました。退院後も定期的な通院と服薬治療を続けており、うつ症状に加えてADHD特有の「集中しすぎて他のことが見えなくなる」「物の管理ができない」「衝動的な行動」などが生活面に大きな影響を与えていました。

日常生活では、身の回りの清潔保持が困難で、入浴や着替えを数日間行えないこともありました。また、金銭管理は家族に任せており、衝動買いを防ぐためにクレジットカードの管理も家族が行っていました。人間関係も極端に狭く、現在は家族と医療関係者以外の交流がほとんどありません。

相談から請求までのサポート

ご相談時には、複数の転院歴があり、初診日の特定と証明書の取得が課題となっていました。最終的には3カ所目の通院先であるCクリニックから「受診状況等証明書」を取得することができ、そこに記載された初診日が厚生年金加入期間中であることが確認できたため、初診日要件をクリアすることができました。

診断書作成の際は、うつ病の症状だけでなく、ADHDによる注意力・集中力・衝動性の問題が日常生活に及ぼす影響を医師に具体的に記載してもらうよう依頼しました。

また、「病歴・就労状況等申立書」では、職場での対人トラブル、服薬管理の困難、家族のサポートがなければ生活できない現状を丁寧に記載し、審査機関が実態を正確に理解できるように工夫しました。さらに、危機対応の難しさや、公共交通機関の利用困難といった「社会的機能の制限」を具体的に説明することで、障害の程度が重いことを適切に伝えることができました。