どんな人が受け取れる?障害年金の受給要件は?
障害基礎年金、又は障害厚生年金を受けるためには、次の4つの要件を満たしていなければなりません。
1.初診日要件を満たしている人
2.保険料納付要件を満たしている人
3.障害認定日要件を満たしている人
4.障害等級に該当している人
ここからは、4つの要件について詳しく解説いたします。
1.初診日要件を満たしている人
初診日とは、障害の原因となった傷病について初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
医師とは、一般に医師法に基づく医師免許を有する者、若しくは歯科医師法に基づく歯科医師免許を有する者をいい、
保険医である必要はありません。
整骨院、ほねつぎ、鍼灸院等は初診日とは認められません。
初診日に国民年金被保険者の方は「障害基礎年金」の請求となり、障害等級は1級と2級となります。
初診日に厚生年金被保険者の方は「障害厚生年金」の請求となり、障害等級は1級と2級と3級、障害手当金(一時金)となります。
「初診日」の捉え方としては、症状が現れて最初に「A病院」へ通院し、良くならないため「B病院」へ転院した後に確定診断された場合、「初診日」は、確定診断を受けた「B病院」ではなく、「A病院」となります。
下の図のように、初めて医師または歯科医師の診療を受けた病院にカルテの保存期間である5年が過ぎてカルテが破棄されていたり、廃院となり病院がない時は、2番目、3番目の病院から初診日証明(受診状況等証明書)を取る必要があります。2番目以降の病院のカルテに最初の病院の初診日が記載されていれば「初診日」が確定します。このように障害年金請求においては「初診日」が大変重要となります。(この他にも初診日を証明するいくつかの方法があります。)
「初診日」についての捉え方
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「初診日」と「相当因果関係」
相当因果関係とは、個々のケースによりますが、前の疾病又は負傷がなければ、後の疾病が起こらなかったであろうと認められる場合は、相当因果関係ありとして、前後の傷病を同一傷病として取り扱います。
例えば、糖尿病が原因で腎不全を発症した場合、糖尿病と腎不全の間に相当因果関係があるとみなされます。この場合、糖尿病で初めて医師の診療を受けた日が初診日となります。
ただし、通常、後の疾病には負傷は含まれません。
【相当因果関係ありとして取り扱われることが多い例】
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【相当因果関係なしとして取り扱われることが多い例】
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2.保険料納付要件を満たしている人
障害年金は、国が保険者として一部税金も使われている保険制度の一種です。民間保険と同じように保険料を納めていなければ、もし障害の状態になったとしても障害年金を受けることができません。
(※20歳前障害年金には保険料納付要件はありません)
ただ、民間保険会社と違い、国民年金の場合は、保険料を経済的理由から納めることができない人、学生を対象に国民年金保険料の◎免除制度、◎納付猶予制度があります。
ご自分で申請し、この制度をしっかり利用されている方は、保険料を実際に全額納めていなくても、納付要件は満たすことになります。
(原則)
初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間にかかる保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が被保険者期間の3分の2以上であることが必要です。
(例外)
原則の保険料納付要件を満たさなくても、初診日が平成38年4月1日前にある場合には、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの1年間に保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の被保険者期間がないことが必要です。ただし、この特例は、初診日において65歳以上の者には適用しません。
3.障害認定日要件を満たしている人
障害認定日とは、障害の程度の認定を行う日のことをいいます。障害認定日以降に障害年金請求ができるようになります。障害基礎年金の場合は、傷病の程度(原則65歳未満)が1級、2級の障害状態になっていることが必要です。障害厚生年金の場合は、傷病の程度が1級、2級、3級の障害状態になっていることが必要です
(原則)
初診日から起算して1年6ヶ月を経過した日をいいます。
(特例)
初診日から1年6ヶ月以内に傷病が治った場合は治った日(症状が固定した日)のこといいます。「症状が固定」したとは、病気やケガの状態がこれ以上良くも悪くもならない状態のことをいいます。
障害認定日の特例(症状が固定した日)について具体的な説明
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4.障害年金の等級に該当している人
年金の種類により、次の障害等級に該当した場合に障害年金の受給となります。
◎障害基礎年金:1級 2級
◎障害厚生年金:1級 2級 3級 障害手当金(一時金)
障害等級を示す障害の状態の目安は、次のとおりです。
1級 障害基礎年金 障害厚生年金
身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできないもの、又は行ってはいけないもの、すなわち病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病室内のベッド周辺に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね就床室内に限られます。
【簡単にいうと】
労務不能、日常生活のほとんどに人の介助が必要な状態です。
2級 障害基礎年金 障害厚生年金
家庭内の極めて温和な活動はできるが、それ以上の活動はできないもの、又は行ってはいけないもの、すなわち病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られます。
【簡単にいうと】
労働不能、日常生活に何らかの制限がある状態です。
ただし、なかには就労しても受給している人もいます。
3級 障害厚生年金
労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとします。
【簡単にいうと】
労働する上で何らかの制限があり、簡易な労働しかできない程度です。
障害厚手当金(一時金)
初診日が厚生年金被保険者の方で、障害等級3級程度より軽く3級に該当せず、初診日から5年以内に障害が治った(固定状態)場合に、その治った(症状固定)日から5年以内に請求した場合にだけ支給されます。