軽度知的障害で障害基礎年金2級を受給、年間約83万円の支給が決定したケース
相談者
- 性別:女性
- 年齢層:20代
- 傷病名:軽度知的障害
- 決定した年金の種類と等級:障害基礎年金2級
- 年間受給額:約83万円
相談時の状況
相談者は生後10カ月の乳幼児健診で発達の遅れを指摘され、その後も保育園や小学校で集団生活や学業面に困難を抱えてきました。日常生活では突発的な行動や物に対する執着、他者との距離感の取り方に課題がありました。普通学級に在籍しながらも、授業についていけない、自分の思いを上手く言葉で表現できない、友人関係がうまく築けないといった状況が続き、いじめや不登校も経験しました。
中学の時に、市の発達支援相談センターで心理テストを受け「療育手帳B」を受けました。
高校では通信制に進学しましたが、学業の継続に困難を抱え、精神的にも不安定になっていきました。特に高校2年頃から情緒不安定や引きこもりが顕著となり、アルバイト先でも人間関係の不調から短期間で退職することになりました。
高校卒業後は、障害者枠雇用として採用されたものの、人間関係のストレスが原因で休職となり、その後退職することになりました。生活は昼夜逆転し、うつ状態や不安感が強く、人との接触を避けるようになっています。日本社会が厳しすぎることもあり、自己肯定感も低く、「役に立たない人間」と感じてしまうことが多く、日々の生活にも支障が出ていました。
相談から請求までのサポート
ご家族より障害年金の申請を希望され、当事務所へご相談いただきました。初診医であるA病院では障害年金に該当しないとされたため、B病院への転院となりました。新たな主治医の協力のもと、過去の発達経過や生活状況、現在の症状に基づいた詳細な診断書を取得することができました。
「病歴・就労状況等申立書」の作成においては、幼少期から現在に至るまでの一貫した困難の経過を丁寧に整理しました。具体的には、日常生活における課題(食事・清潔保持・金銭管理・服薬・意思伝達・危機対応・社会性など)をヒアリングしながら記載し、医師の見解と整合性のある内容となるよう配慮しました。また、休職中の状況や家族からの支援の有無、通院の必要性なども詳細に記述しました。
結果
申請の結果、軽度知的障害による障害基礎年金2級の永久認定を受け、年間約83万円の受給が決まりました。相談者は現在も治療と療養を継続しながら、少しずつ日常生活の立て直しに取り組んでおられます。ご家族のサポートのもと、生活の安定と社会復帰に向けた準備を進めている段階です。