肢帯型筋ジストロフィーで障害基礎年金2級が認定され、年間約83万円を受給することになったケース
相談者
- 性別:男性
- 年齢層:50代
- 職業:会社員
- 傷病名:肢帯型筋ジストロフィー
- 決定した年金の種類と等級:障害基礎年金2級
- 年間受給額:約83万円
相談時の状況
相談者は幼少期に歩行異常を指摘され、幼い頃より専門のA病院で定期的な診察を受けていました。筋肉の組織検査により肢帯型筋ジストロフィーと診断されて以降、継続して経過観察を受けてこられました。
幼稚園や小学校は私立校に通学され、通学にはマイクロバスの送迎を利用。日常生活には一定の配慮を受けながらも、学校生活を送ることができていました。
高校入学後には側彎症が判明し、階段の昇降が難しくなるなど、症状が徐々に進行。学校側の理解によりエレベーターの利用が許可されるなどの支援を受けつつ、学業は継続されました。
卒業後は地元の企業に障害者雇用枠で入社し、システム部門でパソコン業務を中心とした仕事に従事。定期的な通院を続けながら就労を継続されていましたが、ある時期から倦怠感や心機能に関する症状が現れ、B病院(循環器内科)を紹介され、治療を受けることとなりました。必要な処置としてペースメーカーの植え込み手術も行われています。
その後も就労を継続され、コロナ禍を契機に在宅勤務へと移行。出勤が必要な際には、家族による送迎を受けていました。
近年では、筋力の著しい低下により生活全般に支障が出るようになり、再びA病院への入院となりました。現在は以下のような日常生活上の困難を抱えています:
-
食事に介助が必要で、自力摂取が困難
-
衣類の着脱、トイレ、入浴など基本動作に大きな支障がある
-
立ち上がる動作や腕の動きに制限があり、階段昇降や歩行は不可
-
常時車椅子を使用し、日常生活の多くに介助が必要
-
家族による介護にも限界があり、今後は専門施設への入居が検討されている
こうした状況を踏まえ、障害年金の申請を行うこととなりました。
相談から請求までのサポート
長期にわたる通院歴と複数の医療機関の関与があったため、初診日を明確にすることが重要な課題となりました。医療機関との連携により、記録の確認と必要書類の取得を進め、初診日の証明の「受診状況等証明書」を整えました。
診断書については、現在の身体機能の状態と日常生活における制限が具体的に反映されるよう、医師との調整を行いながら記載内容の充実を図りました。
また、病歴・就労状況等申立書においては、長年にわたる生活の変化や仕事上の制約、日常生活での困難などを具体的に記述し、審査機関に正確な生活実態を伝えることを重視しました。症状の進行と支障の程度を、時系列に沿って丁寧に整理したことで、申請内容の説得力が高まりました。
結果
申請の結果、肢帯型筋ジストロフィーによる障害基礎年金2級の認定を受け、年間約83万円の支給が決定しました。
これにより、今後の介護サービスの導入や施設入所に向けた準備が進めやすくなり、家族の経済的・介護的負担の軽減にもつながる見通しが立ちました。長年の生活の変化と向き合ってきた相談者に対し、必要な支援が適切に適用されたケースとなりました。