【受給事例】ADHDで障害厚生年金2級認定となり、年間約150万円の受給できたケース

相談者

  • 性別:男性
  • 年齢:30代
  • 傷病名:ADHD(注意欠如・多動症)
  • 決定した年金の種類と等級:障害厚生年金2級
  • 年間受給額:約150万円

 

相談時の状況

相談者は、幼少期から忘れ物が多く、感情のコントロールや周囲とのコミュニケーションに困難を抱えていました。気に入らないことがあるとパニックになったり、些細なことで泣いてしまったりすることがありました。また、計算や細かい作業が苦手で、特定の匂いに強い不快感を覚えるなど、さまざまな特性が見られました。

学校生活では集団になじめず、友人関係を築くことにも苦労していました。大学では比較的良好な人間関係に恵まれたものの、アルバイトでは複数の仕事の優先順位を判断できず、予期しない出来事が起こるとパニックになってしまうなど、仕事を進めるうえでの困難がありました。

大学卒業後はC社に就職し、金融関係の業務に従事しました。しかし、数字を扱う仕事では金額を一桁間違えるなどのミスが頻繁に発生し、上司や同僚から注意を受けることが続いていました。

その後、他の部署へ異動しましたが、同様のミスが続きました。親切な先輩社員が仕事をフォローしてくれていたため、何とか勤務を継続できていたものの、自分自身で業務を判断したり、複数の仕事を効率よく進めたりすることは困難な状況でした。

やがて後輩を指導する立場になると、仕事上の負担はさらに大きくなりました。上司との意思疎通がうまくいかず、指示を誤って解釈してしまうことや、顧客からのクレーム対応でパニックになることもありました。

仕事上のミスを繰り返すうちに上司から厳しい叱責を受けるようになり、次第にミスを報告することさえ難しくなっていきました。

こうした状況から、ご本人は発達障害の可能性を考えるようになり、令和2年2月にAクリニックを受診しました。心理検査などを経てADHDと診断され、職場での配慮が必要とされました。その後はBクリニックへ転院し、定期的な通院と服薬治療を継続していました。

職場にもADHDの診断を伝え、部署異動などの配慮を受けましたが、注意力や集中力の問題、ケアレスミス、対人コミュニケーションの困難は改善せず、会社は休職することになりました。復職後は、仕事を続けようと努力しましたが、再び休職し、最終的に退職することになりました。

退職後は就労移行支援事業所に通い、再就職に向けた支援を受けていましたが、日常生活にも多くの支障がありました。仕事だけでなく日常生活においてもさまざまな困難を抱えており、一般企業での通常の就労を継続することが難しい状態でした。

退職によって収入が途絶え、今後の生活に強い経済的不安を感じていたことから、生活費を確保し、就労移行支援を受けながら生活を安定させたいとの希望で、当事務所に障害年金の申請についてご相談いただきました。

 

相談から請求までのサポート

今回の障害年金請求では、初診日の証明と、退職に至るまでの就労状況、日常生活における支障を正確に伝えることが重要なポイントとなりました。

まず、初診日を証明するため、Aクリニックから「受診状況等証明書」を取得しました。初診の医療機関での終診から5年以内であったこともあり、必要な書類をスムーズに取得することができました。

今回、特に注意を払ったのは、退職してから間もない時期での障害年金請求だったことです。障害年金の審査では、就労していたという事実だけでなく、実際にどのような状況で働いていたのか、職場でどのような援助や配慮を受けていたのか、障害によってどのような困難が生じていたのかを具体的に伝えることが重要です。

相談者は長年にわたり勤務を続けていましたが、その間には頻繁な業務上のミスや、上司・同僚との意思疎通の困難がありました。また、先輩社員による継続的なフォローや部署異動などの配慮があって、何とか勤務を続けていたという事情がありました。

そこで、「病歴・就労状況等申立書」の作成にあたっては、勤務を継続できていた背景には周囲の支援があったこと、ADHDの特性によって業務遂行が困難となり、最終的に休職・退職に至ったことを具体的かつ丁寧に記載しました。特に、数字の入力ミスや複数業務の優先順位を判断できないこと、予期しない出来事への対応が難しいこと、上司への報告や相談がうまくできなかったことなど、実際の職場で生じていた問題を詳しく整理しました。

また、ADHDによる困難は就労面だけではありません。日常生活の状況についても詳しく聞き取りを行い、食事の偏り、整理整頓や清潔保持の困難、計画的な金銭管理の難しさ、対人関係や社会的手続きにおける支障などを申立書に反映しました。特に、家族などから助言や指導を受けなければ適切な日常生活を送ることが難しい点について、具体的なエピソードを交えながら記載しました。

退職直後という事情だけで障害の状態が軽く捉えられることのないよう、これまでの就労実態と現在の日常生活能力の両面を丁寧に整理し、審査において実情が正しく伝わる申請書類の作成に努めました。

 

結果

障害年金の請求を行った結果、ADHDによる障害厚生年金2級が認定され、年間約150万円の受給が決定しました。

退職から間もない時期での請求でしたが、勤務中に抱えていた具体的な困難や、職場で受けていた配慮、ADHDの症状によって退職に至った経緯、さらに日常生活における援助の必要性を丁寧に伝えたことが、障害の状態を適切に判断してもらうための重要なポイントとなりました。

受給が決定したことで、相談者は退職後の経済的な不安を軽減することができました。ご本人からも、「経済的に安心を得ることができました。更新の際には、また相談させてください」とのお言葉をいただきました。

今回の事例のように、ADHDによって長年仕事上の困難を抱え、周囲の配慮を受けながら勤務していたものの、最終的に就労の継続が難しくなるケースがあります。ADHDによる障害年金の審査では、診断名だけでなく、日常生活能力や就労状況、周囲から受けている援助などを総合的に判断することになります。そのため、退職するまで働いていた方であっても、仕事上の具体的な困難や日常生活の支障を適切に伝えることが重要です。

ADHDによる仕事や日常生活の困難を抱え、障害年金の申請を検討されている方は、ぜひ一度、障害年金を専門とする社会保険労務士にご相談ください。

 

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