【事例】反復性うつ病性障害で障害厚生年金2級を取得、事後重症請求で年額約180万円が認定ケース

相談者

  • 性別:女性
  • 年齢層:50代
  • 傷病名:反復性うつ病性障害
  • 決定した年金の種類と等級:障害厚生年金2級
  • 年間受給額:約180万円

 

相談内容

相談者は平成24年頃、抑うつ気分と強い不安が持続し、人目が気になって仕事が手につかない、思考力が低下するといった症状が現れたことから、医療機関を受診しました。当初は「抑うつを伴う適応障害」と診断され、投薬療法などの治療を受けましたが、十分な改善には至りませんでした。

その後も複数の医療機関を受診しながら治療を続けましたが、睡眠障害、気分の落ち込み、食欲不振、強いイライラなどが続きました。症状が悪化した時期には、希死念慮や自傷行為もみられ、精神科病院への入院が必要となるほど精神状態が不安定になりました。

退院後も症状は安定せず、日常生活の多くの場面でご家族の援助が必要な状態が続きました。食事の準備や身の回りのこと、金銭管理、服薬管理などを一人で適切に行うことが難しく、通院にもご家族の付き添いが必要でした。対人交流もほとんどなく、新しい環境や予定の変化への対応にも強い困難があり、就労を継続できる状態ではありませんでした。

ご家族は以前にも障害年金の申請を試みたことがありましたが、手続きが複雑だったことなどから途中で断念されていました。その後、長い年月が経過したことで、ご家族の記憶も曖昧になっており、「いつ、どの医療機関を受診していたのか」という通院歴そのものを確認することから始めなければならない状況でした。

そこで、障害年金をあらためて請求するため、当事務所へご相談いただきました。

 

相談から請求までのサポート

今回の障害年金請求で大きな問題となったのが、初診日の証明でした。

当初の医療機関では「適応障害」と診断され、その後、「反復性うつ病性障害」と診断されていたことから、請求手続きの過程で両者の関係について確認を求められ、書類が返戻されました。現在の主治医に対し、当初から症状が継続していることや診断名の変更に関する記載を依頼するよう求められましたが、現在の主治医は当時の診療を担当していなかったため、過去の状況については記載できないとの回答でした。

そのため、請求の組み立てを改めて検討し、「うつ病」と診断された医療機関の受診日を初診日として整理するため、新たに受診状況等証明書の取得を進めることになりました。

しかし、ここでも問題が発生しました。過去に受診した医療機関では、すでにカルテが廃棄されていました。さらに、その後に受診した医療機関についても主治医が交代しており、以前の主治医が診療していた当時のカルテが残っていませんでした。

障害年金では初診日を明らかにすることが非常に重要ですが、初診から長期間が経過しているケースでは、カルテの廃棄などにより通常の受診状況等証明書だけでは初診日を証明できないことがあります。

そこで今回は、残されていたお薬手帳の記録や、取得可能な時期からの受診状況等証明書などを確認し、過去の受診歴を一つずつ整理しました。

さらに、初診日の証明方法について平成27年(2015年)に取扱いが見直されたことも踏まえ、取得できた客観的資料と受診経過を組み合わせて初診日を説明できるよう申立書を作成しました。単に「カルテがないため証明できない」と諦めるのではなく、残されている資料を確認し、複数の資料から受診経過を組み立て直したことが、今回の請求における重要なポイントとなりました。

また、障害の程度については、病名だけではなく、実際の日常生活にどの程度の支障が生じているのかが重要になります。

相談者の場合、長期間にわたって抑うつ状態などが続き、症状が悪化した際には入院を要した経過がありました。現在も食事、身辺の清潔保持、金銭管理、服薬、通院などについてご家族から継続的な援助を受けています。さらに、対人関係や社会的手続きへの対応も難しく、就労や就労訓練への参加も困難な状態でした。

こうした長年の治療経過と現在の日常生活の状況が請求書類全体を通して伝わるよう整理し、事後重症による障害厚生年金を請求しました。

 

結果

審査の結果、反復性うつ病性障害により障害厚生年金2級に認定され、年額約180万円の障害年金を受給できることになりました。

今回のケースでは、平成24年頃から長期間にわたる受診歴があり、ご家族も過去に障害年金の申請を試みたものの途中で断念していました。その後年月が経過したことで記憶が曖昧になり、さらにカルテが廃棄されている医療機関もあったため、初診日の確認・証明は容易ではありませんでした。

加えて、当初の「適応障害」と後の「反復性うつ病性障害」との関係について審査上の確認を求められたことで、請求手続きを改めて整理する必要も生じました。

それでも、お薬手帳や取得可能な受診状況等証明書など、現在残っている資料を一つずつ確認し、初診日の証明に関する取扱いも踏まえて申立書を作成することで、請求を進めることができました。

精神疾患による障害年金では、初診から長い年月が経過しているために「病院にカルテが残っていない」「昔の通院先や受診時期を正確に覚えていない」といった問題が生じることがあります。

このような場合でも、カルテがないという理由だけで障害年金の請求ができないと決まるわけではありません。お薬手帳をはじめ、当時の受診状況を確認できる資料が残っていないかを調べ、現在取得できる医療機関の証明などとあわせて、初診日を立証できる可能性を検討することが重要です。

今回も、複雑な受診経過を整理して必要な資料を揃えた結果、事後重症請求によって障害厚生年金2級の認定につなげることができた事例となりました。

 

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