【事例】高次脳機能障害・症候性てんかんで障害厚生年金2級を受給 年間約170万円の受給が認められたケース

相談者

  • 性別:男性
  • 年齢層:30代
  • 職業:会社員
  • 傷病名:高次脳機能障害・症候性てんかん
  • 決定した年金:障害厚生年金2級
  • 年間受給額:約170万円

 

 相談内容

相談者は、頭痛が続き、市販薬や処方薬でも改善しない状態が続いていました。足のだるさも強くなり、仕事に支障が出始めたため近隣の医療機関を受診しました。その後、A脳神経外科でCT・MRI検査を受けた結果、松果体部脳腫瘍と閉塞性水頭症が判明しました。直ちにB医療センターへ紹介され、緊急手術を受けることになりました。

手術では腫瘍摘出が行われましたが、視神経に近い部位であったため後遺症の可能性が説明されました。術後は激しい頭痛や発熱、複視、水頭症による症状が続き、シャント手術も必要となりました。その後も放射線治療やICE療法による化学療法を繰り返し受け、副作用による吐き気や食欲低下、著しい体力低下に苦しみました。病院食も十分に食べられず、ご家族の支えを受けながら長期間にわたる治療を続けました。

一度は職場へ復帰しましたが、松果体腫瘍が再発し、ガンマナイフ治療や再度の化学療法が必要となりました。その後も定期的なMRI検査を受けながら経過観察を続けていましたが、視野狭窄や激しい頭痛、言葉が出なくなる症状、意識障害などを繰り返すようになり、症候性てんかんと診断されました。さらにC総合病院で詳しい検査を受けた結果、高次脳機能障害も診断されました。

相談時には、日常生活において多くの困難がみられました。

数分前の出来事を忘れることがあるほか、食事の内容や数日前の出来事も思い出せず、薬の飲み忘れも頻繁にありました。同じ話を何度も繰り返したり、人の名前や言葉が出てこなかったりすることも多く、会話やコミュニケーションにも支障が生じていました。

また、一つの作業を継続できない、複数のことを同時に処理できない、計画的に行動できないなど遂行機能障害も目立ちました。洗面後に水を止め忘れる、玄関の鍵を掛け忘れる、必要な持ち物を忘れることも多く、安全面でも家族の見守りが必要な状態でした。

金銭管理能力も大きく低下し、自分で収支を管理することができず、過去には多額の借金をしてしまったこともありました。そのため、現在は奥様がお小遣いを管理し、生活費や支払いをすべて管理しています。

さらに、身だしなみや清潔保持についても声掛けが必要であり、服薬管理や通院管理も家族の援助なしでは難しい状況でした。

症候性てんかんのため自動車の運転は禁止され、その後運転免許も取り消しとなりました。病気になる前に担当していた運転業務は継続できなくなり、仕事の内容も大きく制限されました。

会社では一般雇用として勤務を続けていましたが、実際には障害に対する理解と配慮を受けながら働いていました。午後は疲労が強く休憩時間が長く必要となり、電話応対や電子機器を使用する業務も軽減され、通院日は優先的に休暇を取得できるなど、実質的には障害者雇用と同程度の合理的配慮を受けていました。

 

 相談から請求までのサポート

本件は発症から複数の医療機関で手術、放射線治療、化学療法、てんかん治療、高次脳機能障害の評価を受けていたため、受診歴や治療経過が非常に複雑なケースでした。そこで、初診日から現在までの治療歴を時系列で丁寧に整理し、各医療機関から必要な資料を収集しました。

特に高次脳機能障害では、診断書の内容だけでは、実際の障害の程度が十分に伝わらないことが少なくありません。そのため、病歴・就労状況等申立書では、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、失語症状、感情コントロールの難しさ、金銭管理能力の低下、家族による継続的な援助内容、職場で受けている合理的配慮などを具体的なエピソードを交えて詳しく「病歴・就労状況等申立書」に記載しました。

また、診断書については、日常生活能力の実態と一致した内容となるよう、主治医に対して「病歴・就労状況等申立書」の内容をもとに情報提供を行いました。家族による継続的な援助が不可欠であることや、就労を継続できているのは会社からの特別な配慮によるものであることが適切に反映されるよう努めるとともに、勤務先には、業務内容や就労上の合理的配慮の状況について証明書を作成していただき、実際の就労状況が審査に正確に伝わるようサポートしました。

さらに、症候性てんかんについては発作の経過や意識障害、運転免許取消処分に至った経緯を整理し、高次脳機能障害との関連を含めて障害の全体像が審査機関へ正確に伝わるよう請求書類を作成しました。

なお、「てんかん」と「高次脳機能障害」を含むその他の精神疾患を併発している場合は、障害認定基準上、「併合認定」は行われず、「総合認定」により障害の程度が判断されます。

 

 結果

請求の結果、高次脳機能障害および症候性てんかんによる障害の状態が総合的に評価され、障害厚生年金2級が認定されました。年間約170万円の障害年金を受給できるようになったことで、長期にわたる治療や生活に対する経済的な不安が軽減されました。

現在も定期的なMRI検査や通院を継続しながら、抗てんかん薬による治療を受けています。会社の理解と配慮、そしてご家族の継続的な支援を受けながら就労を続けていますが、記憶障害や注意障害、疲労感などにより、日常生活では引き続き援助が必要な状態です。

本件は、高次脳機能障害と症候性てんかんという外見からは分かりにくい障害について、診断書だけでなく日常生活や就労状況を具体的に整理し、家族の援助や職場の配慮を丁寧に書類へ反映したことが、適切な認定につながった受給事例といえます。

 

 高次脳機能障害・てんかんで障害年金をご検討中の方へ

高次脳機能障害や症候性てんかんでは、「働いているから障害年金は受給できない」と思われる方も少なくありません。しかし、実際には会社から特別な配慮を受けながら就労している場合や、ご家族の援助がなければ日常生活を送ることが難しい場合には、障害年金の対象となる可能性があります。

障害年金の審査では、病名だけではなく、「日常生活にどのような支障があるのか」「どのような援助を受けて生活しているのか」を具体的に伝えることが非常に重要です。

当事務所では、高次脳機能障害や症候性てんかんをはじめ、脳腫瘍後遺症による障害年金請求について豊富な経験を活かし、診断書の確認から病歴・就労状況等申立書の作成まで丁寧にサポートしております。

「高次脳機能障害で障害年金を受給できるか知りたい」「てんかんで働いているが対象になるのか相談したい」という方は、お気軽にご相談ください。

 

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