【事例】高次脳機能障害で障害基礎年金2級を受給 不支給から再申請で認定されたケース

相談者

  • 性別:女性
  • 年齢層:30代
  • 職業:主婦
  • 傷病名:右脳出血後の高次脳機能障害
  • 決定した年金の種類と等級:障害基礎年金2級(子の加算あり)
  • 年間受給額:約114万円(子の加算あり)
  • 請求状況:一度自身で請求し不支給、その後再申請で認定

相談時の状況

相談者は自宅で倒れているところを家族に発見され救急搬送されました。当初は感染症が疑われましたが、その後の検査で脳動静脈奇形の破裂による脳室内出血が判明し、血管塞栓術および脳動静脈奇形摘出術を受けました。

術後はリハビリテーション病院へ転院し、作業療法や言語療法、歩行訓練を受けましたが、高次脳機能障害による後遺症が残存しました。左視野欠損、人物認識の困難、記憶障害、注意障害、段取りを立てることの困難さなどが継続し、日常生活や社会生活に大きな支障を抱える状態となりました。

特に、顔を見ても相手が誰か分からないことがある、道順を覚えられない、自席を間違える、複数の作業を同時に行えない、感情のコントロールが難しいといった症状が目立ちました。また、家事や育児にも支障があり、金銭管理や行政手続きについても家族の支援が必要な状況でした。

現在は障害者枠雇用において軽作業に従事していました。支援員による継続的な声掛けや指導が必要な状態です。一般就労は困難で、障害特性への配慮を前提とした環境でのみ就労が継続できていました。

相談者は一度ご自身で障害年金を請求されましたが、不支給決定となりました。その後、勤務先の支援員から「社労士へ依頼した方が良いのではないか」と助言を受け、当事務所へご相談いただきました。

相談から請求までのサポート

今回の案件では、高次脳機能障害特有の症状を診断書や申立書へ適切に反映させることが重要なポイントでした。

主治医は脳神経内科の医師であり、高次脳機能障害の診療経験は豊富でしたが、障害年金制度における精神の障害用診断書の作成経験は多くありませんでした。そのため、診断書作成にあたり、日本年金機構が公表している「障害年金の診断書(精神の障害用)記載要領」や、県が作成している「高次脳機能障害チェックリスト」を参考資料としてお渡ししました。

さらに、「病歴・就労状況等申立書」については、単なる症状の羅列ではなく、実際の日常生活や社会生活においてどのような支障が生じているのかを具体的に整理しました。記憶障害による物忘れや服薬管理の困難さ、注意障害による火の消し忘れや水道の閉め忘れ、人物認識障害による対人関係の困難、金銭管理能力の低下、感情コントロールの問題などを詳細に記載しました。

また、障害者枠雇用で働いている事実だけを見ると「働けている」と判断される可能性もあるため、実際には支援員の継続的な援助や配慮がなければ就労継続が困難であること、一般就労は難しい状況であることについても丁寧に説明しました。

ただ、完成した診断書は、前回より一定の内容が記載されていたものの、高次脳機能障害による日常生活能力の低下が十分に伝わる内容とは言い難い部分もありました。そのため、「病歴・就労状況等申立書」において実際の生活状況や支援の必要性を詳細に補足し、診断書だけでは伝わりにくい障害の実態を審査機関へ伝えることに注力しました。

結果

再申請の結果、高次脳機能障害による障害基礎年金2級が認定され、子の加算を含めて年間約114万円の受給が決定しました。

相談者は初回請求時に不支給となったことで大きな不安を抱えていましたが、障害の実態を適切に整理し、診断書と病歴・就労状況等申立書を総合的に作成したことで認定につながりました。

高次脳機能障害は外見から障害が分かりにくく、診断書だけでは日常生活上の困難が十分に伝わらないことも少なくありません。本件でも、記憶障害や注意障害、遂行機能障害、社会行動障害によって常時の助言や支援が必要な状態であることを具体的に示したことが認定のポイントになったと考えられます。

障害年金の申請では、診断書だけでなく、日常生活や就労状況をどのように整理して伝えるかが結果を左右する場合があります。特に高次脳機能障害による障害年金請求では、専門家のサポートを受けながら進めることが重要であることを改めて示した事例となりました。

ご相談のご予約
022-738-8587

受付時間:平日9:00~18:00
・土日祝・お急ぎの場合は
090-8424-1275(携帯)で対応します