【事例】「その他の認知症(アルコールによる器質性精神障害)」で障害基礎年金1級として認定されたケース

 相談者

  • 年齢層:50代
  • 傷病名:その他の認知症
  • 決定した年金の種類・等級:障害基礎年金1級
  • 年間受給額:約106万円

 

 相談時の状況

相談者は50代で、物忘れが目立つようになり、以前とは異なり怒りやすくなるなどの性格の変化も見られるようになりました。

最初に受診したA脳神経クリニックではアルコール依存症と説明を受け、その後紹介されたB総合病院では、アルコールの影響が大きいことに加え、「70歳代の脳の状態に相当する」と説明を受けました。しかし、薬物治療などは行われませんでした。本人は病院へ行くことを嫌がり、受診は1~2回程度で中断してしまいます。その後も物忘れや怒りっぽさは徐々に進行し、日常生活にも大きな支障が生じるようになりました。意味の通らない発言をすることもあり、認知機能の低下がより顕著になっていました。

その後、C総合病院を受診した際には、医師から病状の説明を受けても他人事のような反応しか示せず、アルコール摂取も継続していました。さらにE総合病院へ紹介され、継続的な診療を受けることとなりました。

将来への不安が大きくなったことから、相談者本人ではなく妻が障害年金について当事務所へ相談されました。

 

 相談から請求までのサポート

ご相談時に確認した保険会社提出用の診断書には、傷病名として「その他の認知症」と記載されていました。しかし、その診断書の内容を精査した結果、アルコール依存症による器質性精神障害として、障害年金の対象となる可能性があると判断しました。

今回の申請で最も重要なポイントとなったのは、どの医療機関を初診の病院とするかという点でした。障害年金では、初診日の証明が受給の可否を左右する重要な要素となります。

相談者はアルコール依存傾向があり、ほかの内科にも通院していました。しかし、アルコール依存傾向のある方が必ずしも器質性精神障害を発症するわけではありません。そのため、ご家族から当時の受診状況を詳しく聞き取り、物忘れや怒りっぽさといった症状が現れた後に受診した「A脳神経クリニック」を初診の病院と判断しました。そのうえで、当該医療機関から「受診状況等証明書」を取得し、初診日を客観的に証明できるよう手続きを進めました。

また、「病歴・就労状況等申立書」では、物忘れや性格の変化がどのように進行したのか、日常生活や家族との関わりにどのような支障が生じていたのかを時系列で整理し、審査機関に状況が正確に伝わるよう、丁寧に書類を作成しました。

 

 障害認定基準について

精神作用物質使用による精神障害については、障害認定基準に基づいて個別に審査されます。アルコールによる精神障害は、発病から現在までの療養状況や症状の経過などを総合的に判断して認定されます。一方で、麻薬や覚醒剤などの違法薬物(市販薬、処方薬以外の一般に言われている薬物です)に起因する障害は障害年金の対象外です。診断名だけで受給できるかどうかが決まるわけではなく、病状や生活への影響、医療記録などを総合的に評価して審査が行われます。

 

 結果

申請の結果、障害基礎年金1級が認定され、年間約106万円の受給が決定しました。初診日の証明が大きな課題となりましたが、受診歴を丁寧に整理し、必要書類を収集したことで受給につながりました。

ご家族からは「経済的な負担が軽くなり、今後の生活への不安が和らぎました」とのお言葉をいただきました。

認知症の症状があっても、原因や診断名によって障害年金の申請方法や審査のポイントは異なります。今回ご紹介するのは、「その他の認知症」と診断され、障害基礎年金1級の認定を受けた受給事例でした。

認知症やアルコールによる器質性精神障害では、初診日の特定や病状の経過を適切に証明できるかどうかが受給の大きなポイントになります。受診歴が複数の医療機関にわたる場合でも、資料を丁寧に整理することで受給につながるケースがあります。同じようなお悩みをお持ちの方は、一人で判断せず、早めに専門家へご相談いただくことをおすすめします。

 

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