【受給事例】人工透析により障害基礎年金2級が認定され、年間約85万円を受給できたケース
相談者
- 性別:男性
- 年齢層:50代
- 職業:無職
- 傷病名:糖尿病性腎症(人工透析)
- 決定した年金の種類と等級:障害基礎年金2級
- 年間受給額:約85万円
ご相談いただいたときの状況
ご相談者は、長年にわたり糖尿病と糖尿病性腎症の治療を続けてこられた50代の男性です。高血圧症でA医院に通院していた際、血液検査で高血糖を指摘されたことが、糖尿病の治療につながるきっかけでした。当時は口の渇き、多飲、多尿などの自覚症状がなく、日常生活にも大きな支障を感じていませんでした。しかし、精密検査が必要とされ、紹介先のB病院を受診しました。
B病院では糖尿病と診断され、糖尿病性腎症も指摘されました。その後は月1回程度の通院を続け、血液検査や投薬、インスリン治療を受けていました。インスリンは少量から始まり、その後は増量されました。著しい自覚症状や低血糖発作は少なかったものの、長い治療期間の中で腎機能の低下が進んでいきました。また、治療の経過中には急性腎盂腎炎による緊急入院も経験されています。
その後も治療を継続しましたが、腎機能は徐々に悪化しました。透析導入の準備としてC病院を紹介され、透析用のシャントを造設するために短期間入院しました。手術後は大きな合併症なく退院し、透析開始に備えることとなりました。やがて末期腎不全のため透析導入が必要と説明され、入院のうえ血液透析を開始しました。その後は維持透析のためDクリニックへ転院し、現在も週3回、1回4時間の血液透析を続けています。
症状については、透析開始後から強い疲労感が生じるようになり、透析を受けた日は、帰宅後に30分から1時間以上休息しなければ、次の行動に移れない状態です。
日常生活については、透析日は倦怠感のため、身の回りのことを行うにも普段より時間を要することがあります。また、透析の予定を中心に生活を組み立てる必要があり、精神的な負担も大きいとのことです。
就労については、透析後の疲労や体力低下により継続的な勤務が難しく、障害者雇用も検討したものの、働き続けることは困難と判断して就労を断念していました。
そうした中、病院関係者から障害年金について説明を受け、年金事務所へ相談に行かれました。しかし、請求方法が複雑で、ご自身で手続きを進めることに難しさを感じ、専門家に任せたいとの思いから当事務所へご相談いただきました。
当事務所で行ったサポート
まず、長年にわたる受診歴と治療経過を確認しました。糖尿病の初診は20年以上前であり、当時のカルテが残っているかが心配されましたが、幸いにもA医院にカルテが保存されていて「受診状況等証明書」は取得ができました。長い年月が経過した事例では、現在の透析治療の状況に加え、過去の受診を裏付ける資料を確認することが大切です。
「病歴・就労状況等申立書」では、糖尿病の治療を長年続け、その後、腎疾患の治療を経て人工透析に至った経緯を詳しく記載しました。自覚症状が乏しかった時期から腎機能が悪化していった過程を整理し、受診先の変更や治療内容を時系列で分かるようにまとめました。
日常生活の聞き取りでは、動作ができるかどうかだけで判断せず、無理をしながら行っていることや、その前後に生じる負担を具体的に確認しました。透析日は強い疲労のため難しくなること、帰宅後に休息が必要なこと、家族の援助を受けていることなどを整理しました。ご本人が普段のこととして受け止めている不便さも丁寧に聞き取り、生活の実態が伝わるようにしました。
また、就労を断念している状況についても、透析の頻度や治療後の疲労、体力低下との関係を含めて申立書に記載しました。主治医に診断書を依頼する際には、受診状況等証明書と作成した病歴・就労状況等申立書を診断書用紙とともにお渡ししました。長期間の治療経過と、診察の場だけでは伝わりにくい日常生活上の負担を、診断書作成の参考にしていただくためです。
結果
請求の結果、糖尿病性腎症により障害基礎年金2級として認定され、年額約85万円を受給することができました。
ご本人からは、受給によって経済的に安定した部分が大きいとのお話がありました。週3回の透析治療を続け、治療後の疲労や体力低下から就労を断念されている中で、定期的に受け取れる年金が生活を支える収入となりました。
病院関係者の説明をきっかけに制度を知り、年金事務所へ足を運ばれたものの、請求方法の複雑さから専門家への依頼を選ばれた事例です。長い治療経過と現在の生活状況を整理して請求を進め、受給につながりました。
社労士から見たこの事例のポイント
人工透析を受けている場合、障害認定基準では原則として2級と認定されます。主要症状や検査成績、合併症、日常生活の状況などによっては、さらに上位の等級を検討する取扱いも示されています。
本事例では、20年以上前の受診時のカルテが残っていたことが、過去の受診歴を確認するうえで重要な資料となりました。長期間治療を続けた後に人工透析となった場合には、透析を始めた時点の情報だけでなく、それまでの病歴や原因疾患の治療経過を整理することが大切です。
また、日常生活については、「できる」という回答だけでは、実際の負担が十分に伝わらないことがあります。透析日にも同じように行えるのか、休息や家族の援助が必要なのか、無理をして行っていないかまで確認することが、生活の実態を伝えることにつながります。
社会保険労務士として、長年の治療経過と現在の困難を具体的に整理し、主治医へ参考資料として伝えることに意義があると考えます。人工透析に伴う障害年金の相談は、仙台障害年金相談オフィスへお寄せください。
障害年金について詳しく知りたい方へ


初めての方へ



