【受給事例】脳梗塞による右半身麻痺と失語症で障害厚生年金1級、年額約290万円を受給したケース

相談者

  • 性別: 女性
  • 年齢層: 50代
  • 傷病名: 脳梗塞による肢体障害・言語障害(失語症)
  • 決定した年金の種類と等級: 障害厚生年金1級
  • 年間受給額: 約290万円(配偶者加給年金額を含む)

 

ご相談いただいたときの状況

今回のご相談は、ご本人ではなくご主人様からいただきました。ある休日、奥様が散歩から帰宅し、こたつの座椅子に座っていました。当初、ご主人様は特に異変には気付かなかったそうです。しかし、しばらくすると、奥様が猫をいつまでも撫で続けていることに違和感を覚えました。不審に思ったご主人様が声をかけても返事がなく、目を大きく見開いたまま一点を見つめている状態でした。

「これはただ事ではない」と感じたご主人様は、すぐに救急車を要請。奥様は病院へ救急搬送され、検査の結果、脳梗塞を発症していることが判明し、保存的治療が行われました。一命は取り留めたものの、左脳に脳梗塞を発症した影響により右半身に麻痺が残りました。

特に右上肢の障害は重く、右腕をほとんど使用することができない状態となりました。さらに、脳梗塞の後遺症として言語機能にも大きな障害が残り、「失語症」がみられるようになりました。

これらの後遺症によって、それまでの生活は大きく変わることになり、障害年金についてご主人様から当事務所へご相談いただきました。

 

当事務所で行ったサポート

今回の障害年金請求で重要だったのは、通常の障害認定日である初診日から1年6か月が経過するまで待つのではなく、まず肢体の障害について早期に請求できる可能性があったことです。

脳血管障害による肢体の障害では、初診日から6か月を経過した日以後に、医学的に症状固定と認められる場合、1年6か月を待たずにその日を障害認定日として取り扱うことがあります。

奥様の場合、脳梗塞による右半身麻痺が残り、特に右上肢についてはほとんど機能しない状態となっていました。

そこで、主治医に現在の肢体の状態や症状固定について確認し、初診日から6か月経過後の症状固定による障害認定日の特例を利用して、通常の1年6か月を待たずに障害厚生年金を請求しました。

その結果、まず肢体の障害について障害厚生年金2級として認定されました。

しかし、奥様に残った障害は右半身麻痺だけではありません。脳梗塞によって言語機能にも大きな障害が残り、失語症の症状が続いていました。そこで、最初の障害年金の認定を受けてから約1年後(初診日から1年6カ月経過後)、今度は失語症による言語障害の状態について主治医に診断書を作成していただき、障害状態がさらに重くなっていることを申し立てる「額改定請求」を行いました。

つまり今回のケースでは、一度の請求ですべてを終えるのではなく、まず症状固定が認められた肢体の障害について早期に障害年金を請求し、その後、失語症による言語障害の状態を踏まえて額改定請求を行うという、段階的な手続きを進めました。その結果、最終的に障害等級は2級から1級へ改定されました。

 

 結果

最初の請求では、脳梗塞による右半身麻痺について障害厚生年金2級として認定されました。その後、失語症による言語障害についても診断書を取得して額改定請求を行った結果、障害状態が認められ、最終的に障害厚生年金1級へ改定されました。配偶者加給年金額を含め、年額約290万円の障害年金を受給することになりました。

今回、障害厚生年金の受給額が比較的高額となった背景には、奥様のこれまでの職歴も関係しています。奥様は大学卒業後、大手企業へ就職し、当時としてはまだ少数だった女性総合職として長年勤務されていました。長期間にわたって厚生年金に加入し、給与や賞与に応じた厚生年金保険料を納めてきたことから、これまでの標準報酬等をもとに計算される報酬比例部分も反映され、今回の年金額となりました。

突然の脳梗塞によって、右半身麻痺と失語症という重い後遺症が残りました。障害年金が今後の生活を経済面から支える一助となり、リハビリテーションを続けながら少しでも機能の回復につながることを願っています。

 

 社労士から見たこの事例のポイント

今回の事例で特に重要だったのは、「障害認定日の特例」と「額改定請求」を段階的に活用したことです。障害年金では、原則として初診日から1年6か月を経過した日が「障害認定日」となります。しかし、すべてのケースで必ず1年6か月を待たなければならないわけではありません。

脳血管障害による肢体の障害では、初診日から6か月を経過した日以後に医学的に症状固定と認められた場合、その症状固定日を障害認定日として、1年6か月より前に請求できる場合があります。今回の奥様については、この取扱いを踏まえて右半身麻痺による肢体の障害を先に請求し、障害厚生年金2級の認定を受けました。そして、ここで手続きを終わらせなかったことも大きなポイントです。

奥様には失語症による重い言語障害も残っていました。その状態を確認したうえで、約1年後(初診日から1年6カ月経過後)に言語障害についての診断書を取得し、額改定請求を行いました。その結果、障害等級が2級から1級へ改定されました。脳梗塞では、手足の麻痺だけでなく、失語症など複数の後遺症が残ることがあります。

障害年金の請求では、一つの症状だけを見るのではなく、どのような後遺症が残っているのか、それぞれの障害がどの程度なのか、また、どの時点で請求することが適切なのかを確認することが重要です。

また、一度障害年金の等級が決定したからといって、その後も必ず同じ等級が続くとは限りません。障害状態が重くなった場合には、一定の要件のもとで額改定請求によって上位等級への変更を求めることができます。

今回のケースは、脳梗塞後の右半身麻痺について障害認定日の特例を検討して早期に請求し、その後も失語症による障害状態を確認して額改定請求につなげたことで、最終的に障害厚生年金1級の認定に至った事例です。

 

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