【事例】うつ病で「社会的治癒」が認められ、再発日を初診日として障害基礎年金2級を受給できたケース
相談者
- 性別:男性
- 年齢層:40代
- 傷病名:うつ病
- 決定した年金の種類と等級:障害基礎年金2級
- 年間受給額:約79万円
ご相談いただいたときの状況
ご相談者は、家庭内の問題をきっかけにうつ病を発症し、数年間にわたり通院を続けていました。その後、徐々に症状が改善し、約5年間は精神科等への通院や服薬をすることなく、会社員としてフルタイムで通常どおり勤務していました。しかし、会社を退職した後、突然強い不安感や気分の落ち込みなどの症状が現れ、外出することも難しくなったため、再び医療機関を受診しました。
その後も症状が改善せず、精神障害者保健福祉手帳を取得したことをきっかけに、主治医から障害年金の請求を勧められ、当事務所へご相談いただきました。
障害年金請求で問題となった点
この事例で最も大きな問題となったのが「初診日」です。
最初にうつ病で医療機関を受診した時点では、国民年金保険料の未納期間が多く、障害年金を請求するために必要な保険料納付要件を満たしていませんでした。そのため、最初の受診日をそのまま初診日とすると、障害年金を受給できない可能性がありました。一方、ご相談者には、その後約5年間にわたり通院や服薬を必要とせず、フルタイムで通常どおり勤務していた期間がありました。
そこで、この約5年間について「社会的治癒」が成立していると考え、症状が再発して医療機関を再受診した日を新たな初診日として障害年金を請求する方針としました。
当事務所で行ったサポート
社会的治癒を認めてもらうためには、「長期間病院へ行っていなかった」という事実だけではなく、その期間に社会生活を通常どおり送ることができていたことを具体的に示すことが重要になります。そこで当事務所では、約5年間にわたり通院・服薬をしていなかった経過を整理するとともに、会社でフルタイム勤務を継続していた事実について資料を収集しました。さらに、その期間中に仕事に関係する資格や武道の段位を取得していたこと、会社退職後にはハローワークで求職活動を行っていたことなどについても資料を準備しました。
これらの客観的資料を添付するとともに、主治医にもそれまでの経過について診断書へ記載していただき、「社会的治癒」が成立していることを具体的に主張して障害基礎年金を請求しました。
結果
審査の結果、約5年間の期間について社会的治癒が認められ、うつ病が再発して医療機関を受診した日が初診日として認められました。その結果、障害基礎年金2級に認定され、年額約79万円を受給することができました。
社労士から見たこの事例のポイント
この事例は、当事務所が初めて「社会的治癒」を主張して障害年金を請求した案件です。
ご相談時に過去の通院歴や保険料納付状況を確認したところ、最初の受診日を初診日とした場合には、保険料納付要件を満たさないという問題がありました。
一方で、その後約5年間にわたり通院や服薬を必要とせず、フルタイムで勤務していた期間がありました。そこで、この期間の生活状況や就労状況を詳しく確認し、「社会的治癒」を主張できる可能性があると判断しました。
請求にあたっては、通院・服薬をしていなかったことだけではなく、フルタイム勤務を継続していたことや、その間の社会生活の状況を示す資料をできる限り収集し、経過を整理して提出しました。
審査の結果、再受診日が初診日として認められ、障害基礎年金2級の受給につながりました。
この案件は、初診日の考え方一つで障害年金の受給可否が大きく変わること、そして過去の通院歴だけで判断せず、その後の治療状況、就労状況、社会生活の実態まで詳しく確認することの重要性を、当事務所として改めて認識した事例でもあります。
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