【受給事例】「網膜色素変性症」で障害厚生年金2級を取得できたケース
相談者
- 性別: 男性
- 年齢層: 40代
- 傷病名: 網膜色素変性症
- 決定した年金の種類と等級: 障害厚生年金2級
- 年間受給額: 約170万円
ご相談いただいたときの状況
相談者は以前、職場の同僚から、歩いていると周囲の物にぶつかることについて「歩くとゴミ箱が転がる」と冗談めかして言われることがあったそうです。当時はご本人に視野が狭くなっているという自覚はなく、それほど気に留めていませんでした。しかし、今振り返ると、「その頃から少しずつ症状が進行していたのかもしれない」とお話しされていました。
その後、メガネ店を訪れた際に視野の異常を指摘されたことをきっかけに眼科を受診しました。詳しい検査を受けた結果、「網膜色素変性症」と確定診断されました。網膜色素変性症は進行性の疾患であり、相談者の場合も、その後徐々に視野狭窄が進行していきました。
日常生活や仕事にも影響が生じるようになり、将来への不安も大きくなったことから、障害年金を受給できないかと当事務所へご相談いただきました。
当事務所で行ったサポート
今回の障害年金請求でポイントとなったのは、初診日からすでに十数年が経過していたことです。
網膜色素変性症は、症状が徐々に進行していくことがあります。相談者についても、初診から長い年月をかけて視野狭窄が進行しており、障害認定日当時ではなく、現在の障害状態をもとに障害年金を請求する「事後重症請求」を行うことになりました。
まず、初めて医療機関を受診した時期や当時の年金加入状況、その後の通院歴などを確認しました。初診日に厚生年金に加入していたことから、障害厚生年金として請求を進めることになりました。初診から約10年が経過していましたが、当時初めて受診した眼科にカルテが保管されていたため、初診日を証明する「受診状況等証明書」を取得することができました。
眼の障害による障害年金では、視力だけでなく、視野の障害についても認定基準が定められています。そのため、診断書に記載される検査結果を確認するとともに、網膜色素変性症による視野狭窄が日常生活や就労にどのような影響を及ぼしているのかについても整理しました。
初診から十数年が経過しているケースでは、長期間にわたる受診歴を整理し、初診日から現在までの経過を適切に書類へ反映させることが重要です。相談者のこれまでの経過を丁寧に確認し、必要な診断書や申立書などを整えたうえで、事後重症による障害厚生年金の請求を行いました。
結果
請求の結果、網膜色素変性症による眼の障害について障害厚生年金2級が認定されました。2級の障害厚生年金では、要件を満たす場合、障害基礎年金もあわせて支給されます。また、相談者には奥様と18歳到達年度末までのお子様がお一人いらっしゃり、それぞれ所定の要件を満たしたことから、配偶者の加給年金額と子の加算額も加わりました。
その結果、障害基礎年金2級+障害厚生年金2級+配偶者の加給年金額+子の加算額として、合計年額約170万円を受給することができました。
長年にわたり徐々に進行してきた網膜色素変性症でしたが、現在の視野障害の状態をもとに事後重症請求を行うことで、障害年金の受給につながった事例です。
社労士から見たこの事例のポイント
今回の事例で特に重要だったのは、網膜色素変性症のように徐々に症状が進行する病気であっても、現在の障害状態によっては事後重症による障害年金請求を検討できるという点です。
相談者の場合、初診から十数年が経過していました。その間に視野狭窄が徐々に進行し、障害年金の等級に該当する状態となったため、現在の障害状態をもとに事後重症請求を行いました。
事後重症による障害年金は、原則として請求した翌月分から支給されます。そのため、「以前から病気だから」「初診から何年も経過しているから」と請求を先延ばしにするのではなく、現在の症状が認定基準に該当する可能性がある場合には、早めに請求の可否を確認することが大切です。
また、眼の障害では「どの程度見えるか」という視力だけでなく、「どの範囲を見ることができるか」という視野の状態も重要です。
網膜色素変性症では、ご本人が徐々に狭くなる視野に慣れてしまい、症状の進行を自覚しにくいこともあります。今回の相談者も、職場で物にぶつかることを指摘されていたものの、当時は視野障害が原因だとは認識していませんでした。
初診から長期間が経過している場合には、初診日の証明や長期間の病歴整理が必要になることもあります。現在の視力・視野の状態だけではなく、いつ初めて受診したのか、その当時どの年金制度に加入していたのか、現在までどのように症状が進行してきたのかを一つずつ確認することが、適切な障害年金請求につながります。
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